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踏み跡にたたずんで

詩と診療所=小野正嗣

 ある詩人について調査旅行をしていたときの話だ。

 詩人が幼年期を過ごした町を訪れた。彼女はそこで2歳から10歳まで老夫婦のもとで育てられた。彼女はその老父婦が自分の本当の祖父母ではないことを、おそらく知っていたと思う。

 けれど、彼女があとに残した文章には、詩と同じくらい数少ない書簡には、そのことを窺(うかが)わせる記述はないので断言はできない。

 詩を読めば明らかではないか、と言われるかもしれない。おまえの読み方が悪いだけだ。愛着と信頼と疑念のあいだで右往左往する不安な子供の心根を念頭に置くとき、不透明な詩句がほのかな光に照らし出され、読む者の心にすっとしみ込んでくる。そんな詩がいくつかあるではないか、と。

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