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欧州議会はEU政治の主戦場=児玉昌己・久留米大学法学部教授

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 英国の欧州連合(EU)離脱問題を抱えつつ、5年に1度の欧州議会選挙が5月、EUの全28加盟国で行われた。選挙は二つの意味で重要であった。第一は欧州議会の重要性が増す中、投票率が上がったことだ。第二は、親EUと反EUという争点が明確になり、多党化の傾向と党派性が強まったことである。

 「欧州人民党」と「欧州社会民主進歩連盟」という親EUの中道2大会派は過半数割れした。他方、フランスの「国民連合」、イタリアの「同盟」、「ドイツのための選択肢」などの反EUナショナリスト勢力はさほど伸びず、むしろ親EUの「欧州自由民主連盟」や「緑の党」が躍進した。2大会派と自民連盟、緑の党だけで親EU派は約7割を占め、体制内改革派の「欧州左翼」を含めれば、その基盤は揺るがない。

 2014年の前回選挙以降、EUの行政府・欧州委員会の委員長人事の最終決定権限が、加盟国首脳で構成される欧州理事会から欧州議会に移った。EUの基本条約「リスボン条約」によって統治構造上の「歴史的な権力の移動」(英フィナンシャル・タイムズ紙)が起きたのである。各党は選挙前に予備選を実施し、選挙で多数派を占めれば、そこから欧州委員長候補者を出すという議院内閣制にも似た制度が導入された。今回は以来2度目…

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