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19年参院選 党首討論会 欠けていた未来への視点

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 参院選が4日公示されるのを前にきのう、日本記者クラブ主催の党首討論会が開かれた。

 年金問題を中心とする社会保障政策、アベノミクスの評価、憲法改正や外交・安全保障など参院選の争点がほぼ出そろったのは確かだ。

 だが深刻な人口減少問題を正面から取り上げる党首がいなかったことをはじめ、多くの国民が抱いている将来への不安の解消につながる論戦が展開されたようには思えない。与野党は公示後も未来に向けた議論を深める努力が必要だ。

 年金問題に対する安倍晋三首相(自民党総裁)の説明は、結局、今のままで大丈夫だということに尽きた。問題が浮上するきっかけとなった金融庁の報告書を受け取らず、国会で議論さえしなかったことも、まるで人ごとのようだった。これでは国民の不安や疑問に誠実に答えているとは到底言えない。

 一方、立憲民主党の枝野幸男代表は党派を超えた中長期的な議論は必要としながらも、今、低年金で生活に困窮している高齢者らをどうするか、目先の対応が最優先だとの考えを強調した。いずれ政権を取るというのなら、将来ビジョンをもっと明解に語るべきである。

 野党は一斉に消費税率10%への引き上げに反対している。対案がないとの批判に応えるためだろう。枝野氏らは富裕層への課税強化や法人税率引き上げなどを提案したが、消費税に代わって恒久的な安定財源となり得るか。今後の議論となろう。

 参院選は6年半に及ぶ安倍政治の実績を有権者が評価する選挙となる。しかしアベノミクスに関し、首相は相変わらず有効求人倍率など都合のいい数字を並べて「デフレではないという状況を極めて短い間に達成できた」と胸を張るだけだった。

 外交も同様だ。譲歩を重ねながらも行き詰まったロシアとの北方領土交渉を聞かれると「威勢のいい言葉を発していれば解決できるのか」と開き直るような場面もあった。トランプ米大統領が日米安全保障条約に疑義を唱えている点も、条約の重要性はトランプ氏に説明していると述べるにとどまり、議論を封じた。

 不都合な話を覆い隠すのは有権者軽視にほかならない。野党も含め、そこから脱皮する参院選にしたい。

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