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時の在りか

「靖国」など日本の戦後をテーマに取材を続けている伊藤智永編集委員が、政治を「座標軸」に鋭く論じます。

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たそがれゆくや日米安保=伊藤智永

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空母化される護衛艦「かが」を歩くトランプ米大統領と安倍晋三首相=神奈川県横須賀市の海上自衛隊横須賀基地で5月28日(代表撮影)
空母化される護衛艦「かが」を歩くトランプ米大統領と安倍晋三首相=神奈川県横須賀市の海上自衛隊横須賀基地で5月28日(代表撮影)

 84歳の岸信介元首相に20回以上インタビューした原彬久編「岸信介証言録」(毎日新聞社、2003年)は、何度読んでも面白い。例えば日米安全保障条約改定(1960年)についての回想。

 「くだらない問題でしたが、極東の範囲なんていうのは、あれは愚にもつかなかったね。憲法の範囲内において、日本が武力を強化していくという問題のほうが実質的には重要なんだ」

 改定後の条約は、米国の日本防衛義務(第5条)と引き換えに、「日本国並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため」、在日駐留米軍への基地提供(第6条)を定めた。「極東」はどこを指すかが当時、安保論争の一大争点だった。

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