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エンタメ小説・今月の推し!

水墨画が開く青春 響く生活の重なり

 砥上裕將(とがみひろまさ)さんの『線は、僕を描く』(講談社)は、メフィスト賞受賞のデビュー作。水墨画の世界を通して描く鮮烈な青春小説だ。

 大学生の青山霜介は17歳で両親を交通事故で亡くす。それゆえ心に欠落を抱え、それを入り口も出口も遠近感もない「真っ白な部屋」という。この部屋に独りいて、現実に対応できず、食事をする気力もなくし痩せ細るばかり。なんとか入った大学で日々を過ごしていた。しかしひょんなことから「目のよさ」を買われ、強引に水墨画の大家・篠田湖山の内弟子にさせられた。めったに弟子をとらない湖山の指導が始まる。

 筆の穂先が吸う水と墨のにじみ、大家が引く線の生命力、その筆法など水墨のあれこれがみずみずしいタッチでつづられる。それらをつぶさに見つめる霜介にいざなわれて、知らなかった水墨画の世界が目の前に開けていく。芸術を描くことは難しいのだが、さらりと描いて魅了する手際に驚いた。さらにちょっと変わった大学の友人、兄弟子たちというキャラの立った登場人物が絡み、自身の輪郭をなくした霜介が水墨の線で自らを再構成し…

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