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◆戦争孤児から聞き取り
「命あるうち記録を」
埼玉県蕨(わらび)市の、静かな住宅街。6月、金田茉莉(まり)さん(84)は自宅の居間で、穏やかに迎えてくれた。子どものころの栄養失調のためか右目の視力を失い、長年酷使した左目も衰えている。私は、10年近く前から取材をしている。以前は裁判所や、空襲被害者の集会にも積極的に足を運んでいたが、最近は外出をなるべく控えているという。
30年にわたり聞き取ったり、集めたりした資料と、虫眼鏡があった。活字を拡大して確認し、著述を続けている。「母たちと一緒に死んだ方がよかったと思っていました」。戦争孤児として生きた戦後を話し出すと、表情が引き締まった。
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