西日本豪雨で県内に甚大な被害が出てから7日で1年が過ぎた。当時の痕跡が残ったままの被災地には、愛する人や古里を失い、心の傷を抱え続けている人々が多くいる。自宅の再建、壊れた地域社会の再生、経済の復興--。課題は山積しているが、それでも一歩ずつ前に進もうとしている。【中川祐一】
ダムの緊急放流後に肱川(ひじかわ)が氾濫し、5人が死亡した西予市野村町地区の理容師、兵頭千恵さん(65)は浸水で理髪店を兼ねた自宅が全壊し、1カ月後に夫幸治(こうじ)さんも病気で亡くした。「災害さえなければ今も生きていたはず」。今もそんな思いを抱えながら、前を向こうとハサミを握る。
大柄な体にパーマをかけた髪、口ひげ、色つきのメガネ--。千恵さんが暮らす仮設住宅には若かりし日の幸治さんの写真が並ぶ。「こわもてだったけど、物静かで怒った姿は見たことがなかった」。幸治さんの父が開いた「兵頭理容室」を夫婦で継いで二十数年。閉店後、プロ野球のナイター中継を見ながら、千恵さんが幸治さんの髪にパーマをあてるのが、いつしか習慣になった。
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