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社説

イランの核合意逸脱 国際孤立の道を歩むのか

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 イランがウランの濃縮度を核合意で定められた上限3・67%から約4・5%に引き上げたと表明した。低濃縮ウランの貯蔵量の上限を1週間前に超えたのに続く事実上の合意からの逸脱となる。

 段階的ながら将来の核兵器開発を可能にさせるような措置だ。せっかくの核合意の枠組みを形骸化させることが懸念される。

 これらは本来後ろ盾となってきた欧州に対する瀬戸際戦術と言える。米国による数々の厳しい制裁を受けてイランは、核合意に加わる英仏独の経済支援を求めてきた。ところが肝心の石油輸出への救済策は得られず、その不満が高じ、欧州に揺さぶりをかけた。

 イランの経済が疲弊しているのは分かる。頼りとする石油輸出は激減し、外貨は不足し、通貨下落とインフレで物価は高騰、市民生活を直撃している。

 しかし、合意に背き、欧州をけん制し実を取ろうとする姿勢は得策と言えるのだろうか。欧州の国々と企業には米国の制裁を恐れ、イランとの貿易・取引に踏み出せない事情がある。英仏独ともイランの強硬策に困惑している。

 合意当事国の英仏独露中が正式に違反だと認定すれば、4年間続いた枠組みは崩壊する。合意前に実施された国連安保理によるイラン制裁の再発動にもつながり、イランは国際的な孤立へと逆戻りしてしまう。

 イランの最高指導者ハメネイ師は先月、安倍晋三首相に「核兵器を製造、保有、使用しない」と言明した。ロウハニ大統領は引き上げたウランの濃縮度を制限内に戻すことは1時間以内で可能で、核合意を崩壊させる意図はないと述べた。

 ならば緊張を生み出す瀬戸際戦術はやめ、冷静になって自制に努めた方がよいのではないか。孤立化への道を自ら選択すべきではない。

 元々は国際社会が認めた合意から一方的に離脱したトランプ米政権が起こした危機だ。米国の離脱前までイランは合意内容を順守していた。米国はさらなる追加制裁を警告しているが、枠組みの外にいる国が干渉する筋合いのものではない。

 核合意はイランの安定と中東地域の緊張緩和を目指したはずの取り決めだ。崩壊させてはならない。

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