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パラアスリート交差点2020

その先へ 記録向上は努力の結晶=陸上短距離・走り幅跳び 高桑早生

 パラスポーツの競技力は年々向上しています。一部のメディアは「近年の義足の性能向上によりレベルが上がっている」と評価していますが、それは一面に過ぎません。用具にばかり焦点が当たりがちですが、それを扱うのはアスリート自身です。

 あるパラアスリートが以前、「私の頑張りは評価されないのかな」とこぼしたことがあります。用具の性能向上につながる技術革新とパラスポーツは密接に関係があり、私が使う板バネ(競技用義足)も同様です。世界で陸上の記録は伸びていますが、2008年北京パラリンピック以降、トップ選手の使う義足に大きな変化はありません。

 そもそも用具を使いこなすには努力が必要です。私は高校生の時に陸上を始めました。板バネをつけてから、まともに走れるようになるまでに1年、全力疾走の感覚をつかむまでに2年は要しました。健常者が理解するのは難しいと思いますが、用具や自分と向き合い、感覚を目覚めさせなければならないのです。他人からの助言で簡単に調整できるものではなく、試行錯誤を繰り返しました。

 パラ陸上の歴史が積み重ねられてきたことも、記録が伸びた大きな要因です。選手は義足で速く走ったり、遠くに跳んだりするための技術や知識、練習方法を追求してきました。先人から努力の結晶が受け継がれ、今につながっていると思います。

 「用具の性能向上=競技力向上」と断じるのは短絡的ではないでしょうか。障害により欠如した部分を補う力となる用具との関係性は、アスリートが築いていることを忘れないでほしい。たゆまぬ努力により好記録を残すのは選手です。ただし、用具面だけでは説明の付かない記録をマークする責任を、選手は負わなければなりません。

 失った機能を補い、残った機能を引き出せるように用具をなじませていく。そして、持てる力を最大限に発揮し、記録や歴史を作るのがパラスポーツです。用具を巡る技術革新はもちろん大歓迎で、開発や改良に携わる技術者の皆さんに対する敬意を欠いたことはありません。競技そのものやアスリートのパフォーマンスに、もう少し注目していただけるとうれしいです。(あすは車いすバスケットボールの鳥海連志です)(タイトルは自筆)


 Q 東京パラリンピックは猛暑が懸念されています。どんな暑さ対策をしていますか。

 A 気温は目安にしかなりません。照り返しのある競技場は体感温度がもっともっと高いからです。

 体調管理のために、日焼け止めは欠かせません。日焼け止めを塗るだけで疲労の度合いが違います。ストレスになる日焼けの痛みや熱がこもることを防げるメリットがあります。

 最近はアスリート向けの製品もあります。「日焼け止めを塗る=女子力が高い」と考えるのではなく、男性も日焼け止めを塗った方が良いと思います。抵抗を感じる必要はありませんよ。


 ■人物略歴

たかくわ・さき

 埼玉県熊谷市出身。小学6年で骨肉腫を発症し、中学1年で左脚膝下を切断した。慶大2年だった2012年、ロンドン・パラリンピックに初出場。15年世界選手権では走り幅跳びで銅メダルを獲得した。16年リオデジャネイロ・パラリンピックは同5位、100メートル8位、200メートル7位。NTT東日本所属。27歳。

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