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東京へ ともに歩む

毎日新聞

男子50メートル自由形で派遣標準記録を突破した山田拓朗=静岡県富士市の静岡県富士水泳場で2019年3月2日、佐々木順一撮影

パラアスリート交差点

競泳・山田拓朗「恐れない」社会人スイマーとしてすべてが仕事・業務

 僕は携帯電話会社のNTTドコモで社員として働いています。試合会場では「NTT docomo」のロゴが入ったスイミングキャップやウエアを身につけていますが、会社では人事部の厚生担当を務め、社員の方の福利厚生に関する業務に携わっています。20人弱の部署ですが、皆さんからは競技生活を特に応援してもらっています。社員として働いていることを知っている身近な方からの応援には、特に気合が入ります。

     2020年東京パラリンピックが追い風になり、企業のパラアスリート雇用は進みました。でも、僕が就職活動をしていた13年春はパラリンピックの開催が東京に決定する前で、30社くらいは受けたでしょうか。採用面接では「競技にしっかり取り組みたいので、サポートをお願いしたい」とアピールしました。NTTドコモに就職することを決めたのは、競技に理解があり、しっかりとサポートをしてくれるというお話をいただいたからです。また、最初に内々定をいただき、自分を必要としてくれるという熱い思いを感じたこともあります。

     アスリートとしての練習は、拠点にしているプールで行っています。練習時間は1日当たり1~1時間半、平均で3000~4000メートルを泳ぎます。学生の頃に比べれば、練習時間は短くなりましたが、量より質を重視しています。個人コーチとトレーニングに励んでいるので、自分の練習に集中できています。

     競泳は陸上トレーニングも重要なのですが、僕の場合はトレーニング用の義手を使っています。義手は日常生活に必要な動きを重視するのではなく、トレーニング用に強度重視で製作してもらいました。競泳の場合は、何キロのおもりを持ち上げられるかというよりも、ずっと両手を上げた状態で動作することが多いので、体の末端で力を加えた時に軸がぶれないことを意識したトレーニングをしています。

     社会人スイマーとして、アスリートとして、水泳競技に関わることもすべてが、仕事・業務だと思っています。仕事をしながら競技をすることによって、人生の中で競技が占める価値というものを自分なりに考え、それに見合う時間の使い方をするような感覚が自然と身についているように思います。

     ちなみに、大学時代から始めていたゴルフが趣味です。社会人になる直前に始め、休みを取れた時に、大学の水泳部の同期らとラウンドします。ベストスコアは104です。ゴルフをする時は義手を使わず、片手でクラブを振ります。ドライバーの飛距離は200ヤードくらいでしょうか。一説には、片手で打った時の距離は両手の際の7割くらいになるそうです。片手でゴルフをするのは難しいですが、難しいからこそ楽しい。なかなかラウンドできませんが、ゴルフに行くのはいい息抜きになっています。

    東京パラリンピックは猛暑が懸念されています。どんな暑さ対策をしていますか。

     暑さはすごく苦手です。すぐに熱中症のような症状が出たり、脱水症状になったりします。水分補給とともに、経口補水液などを通して塩分をとるようにしています。

     海外の試合では、屋外プールでレースが行われることがよくあります。しかし、屋外プールというのはそんなに大きな問題ではありません。屋外プールの方が水温は低いものです。日焼け対策はしますが、プールを離れた外の気候の方に問題が多いこともあります。日本の夏が合わない海外選手もいるかもしれません。

    やまだ・たくろう

     兵庫県三田市出身。先天性の障害で左肘から先がない。競泳男子自由形で短距離が専門。パラリンピックには、日本歴代最年少の13歳で臨んだ2004年アテネ大会から4大会連続出場。16年リオデジャネイロ大会は男子50メートル自由形(運動機能障害S9)で銅メダル。NTTドコモ所属。28歳。