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余録

「きょうのオーディションは、終わり」。宣言したのは…

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 「きょうのオーディションは、終わり」。宣言したのは先ほどから書類選考を通った数十人の少年に「飲み物は要らないか」とカップを配っていた中年男である。審査員席らしき正面の席は空席のままだった▲むろん男はジャニー喜多川(きたがわ)さんだった。黙ったまま受け取る者、声かけを無視する者、むだ話をやめない者、開始時間が話と違うのに文句をいう者は、その時点で失格となった(小菅宏(こすが・ひろし)著「アイドル帝国ジャニーズ 50年の光芒(こうぼう)」)▲写真撮影を拒み、公に姿を見せぬジャニーさんの素顔をどの少年も知らなかったころの話である。オーディションの合否は飲み物を受け渡す時のやりとりの印象で決まった。ご当人は「ぼくは素(す)を見て判断する」と語っていたという▲歌って踊る男性グループのショーは米国で過ごした高校時代、バイト先の劇場でよく見た。最も人気だったのは50代のグループだが、ショービジネスが未開拓な日本では少年が一生懸命に歌い、踊る姿が共感を得られると考えたのだ▲最初は東京・代々木公園の少年野球に参集した4人--元祖ジャニーズから始まった男性アイドルのプロデュースだった。高度成長期から昭和バブル期、そして平成・令和へ、時代の波動とみごとに共鳴したアイドルの育成術である▲「ユー、やっちゃいなよ」。日本のジャニーズ系に発した男性アイドルグループは今やアジアのポップスの象徴的存在である。底知れぬエンターテインメントの鉱脈を掘り起こした87年間の旅が今終わった。

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