国民の半数以上が女性なのだから、代表である国会議員もほぼ半数が女性となる。それが自然なはずだ。
しかし日本の女性議員は、衆院で1割、参院で2割に過ぎない。列国議会同盟によると、下院(衆院)ベースでは193カ国中、164位だ。
いびつな状態がなかなか変わらない。男性の既得権、それを守る不平等な制度や慣習、そして国民の意識が大きな変化を阻んできた。
日本は今、人口減少や高齢化が突きつけるさまざまな難題を抱えている。女性という人材を政治の場で生かし切れないままでは、そうした難題も解決に向かわないだろう。
そこで昨年5月、「政治分野における男女共同参画推進法」が成立した。候補者数が男女均等となるのを目指している。
今回の参院選は新法施行後、初の国政選挙となる。主要野党の候補者を見ると、社民(71%)、共産(55%)で女性が半数を超えた。立憲民主(45%)もほぼ半数である。
問題は与党だ。自民は15%、公明が8%に過ぎない。いずれも前回より上がるどころかむしろ下がった。
安倍晋三首相は日本記者クラブ主催の党首討論会で、「努力不足だと言われても仕方がない」と認めた。
だが政権に就いてから6年半もたつのだ。しかも「全ての女性が輝く社会」を最重要政策の一つとして、高く掲げてきた安倍政権である。
国際会議に著名な女性を招いたり、演説で高らかに「女性活躍」を唱えたりしても、国民の代表者となる候補にさえ十分な数の女性が選ばれないというのでは話にならない。
女性候補を増やすには当然、新人候補が必要となる。男性の現職がはじき出されるような選択が難しいという事情はあるだろう。だが、最大政党が本気で変わろうとしない限り、全体に顕著な変化を起こすことなどできない。
安倍首相は3年後の参院選さえ、「20%以上にしていくべく努力したい」と答えるにとどまった。政党の自主性に任せていては均等など期待できないということか。ならば、法改正で強制力を持たせるしかない。
女性も、変化を待つばかりではいけない。選挙はもちろん、政治にもっと積極関与する必要がある。それが女性議員の増加にもつながる。