作家の永井龍男氏は、原稿用紙2、3枚のうち同じ言葉を2度使うのは興ざめと無理にでも言葉を選んでいたそうだ。心したいことながら、昨今、そんなことにはお構いなしの文章によく出合う。
某大学で「文章表現」の授業のお手伝いをしていた際、東京生まれの学生が「自分には故郷がない」と書いて、続く行にも故郷が出てくるので、「古里」か、「生まれ育った土地」に書き直すよう求めた。
以来、その授業では作文に同じ言葉があると、言い換えるように促したが、「別の言葉が浮かんでこないんです」とぼやく学生もいた。要は語彙(ごい)が乏しいわけで、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の広がりとともに「語彙力辞典」なるものが売れ、話題になっているのも、その表れであろう。
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