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「人生被害」の放置は争いようのない事実…政府声明を受けた原告・弁護団声明全文

ハンセン病家族訴訟の首相談話を受けて記者会見をする原告団の(左から)黄光男副団長、林力団長、奥晴海さん、原田信子さん=衆院第2議員会館で2019年7月12日午後1時24分、藤井達也撮影

 ハンセン病家族訴訟の原告・弁護団は12日、元患者の家族を対象とした補償措置を約束した首相談話の公表を受けて、東京都内で記者会見を開き、控訴せず訴訟を終結させる方針を明らかにした。

          ◇

 ハンセン病家族訴訟原告・弁護団の声明は以下の通り。

<政府声明を受けての声明>

 本日、政府は、去る6月28日言い渡された熊本地方裁判所のハンセン病歴者の家族に対する国の責任を認める判決の国家賠償法、民法の解釈の根幹にかかわる法律上の問題点として、①らい予防法廃止後の国の責任を認めたこと、②国会議員の立法不作為に関する最高裁判例に違反すること、③消滅時効に関する最高裁判例に違反することの三つを指摘している。

 しかしながら、①については、長きにわたって違憲の隔離政策を継続してきた国が、らい予防法廃止後も、ハンセン病患者家族を隔離政策の被害者として位置付けることなくその「人生被害」を放置してきたことは争いようのない事実であり、本判決がハンセン病に対する偏見差別を除去するためには国の総力をあげての取り組みが必要であることを明らかにしたものであるにもかかわらず政府がこれを否定することは、偏見差別を除去するために啓発活動に取り組んできた国のこれまでの基本姿勢に反すると言わざるを得ない。そもそも、平成13年熊本地裁判決は、厚生大臣の偏見差別を除去する措置を講じる等の義務違反の違法が平成8年のらい予防法廃止時をもって終了するとは判示しておらず、本判決は平成13年熊本地裁判決と何ら齟齬(そご)するものではない。

 また、②については、本判決は、国会議員の立法不作為に関する最高裁判例の判断枠組みに従い、らい予防法の隔離規定を廃止しなかったことについて国会議員の不作為の国家賠償法上の違法性を認める結論を導いているものであり、何ら最高裁判例に違反する点のない正当な判断である。声明は、最高裁判例の判断枠組みを十分に理解していないものというほかない。

 さらに、③については、本判決は、消滅時効の起算点に関する最高裁判例に従い、行政機関の長や国会議員の不法行為について損害賠償請求を行うという本件訴訟の特殊性を踏まえ、損害および加害行為を認識することが著しく困難であったと判断したうえで、原告らが訴訟を提起しうる状態になったのは平成27年9月9日の鳥取訴訟判決以降に弁護士から指摘があった後であったと判断したものであり、最高裁判例に違反しない正当な判断である。政府声明は、本判決の論旨を曲解するものであると言わざるを得ない。そもそも、本判決の指摘するハンセン病患者家族が差別・偏見を受けるような一種の社会構造の存在を前提とすれば、いかなる理由によっても消滅時効は成立し得ないはずであって、本判決の消滅時効に関する判断はむしろ当然の帰結である。

 以上のとおり、政府声明は、最高裁判例や本判決の論旨を正しく理解しない不当なものであると言わざるを得ず、本判決の法律的な判断は何ら揺らぐものではないし、本判決には政府の懸念するような国民の権利義務関係に影響を及ぼす内容は含まれていないものと考える。

2019年7月12日

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