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作家、村上春樹さんの最新の短編小説2編が、文芸誌「文学界」(文芸春秋)8月号に掲載された。「ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles」と「『ヤクルト・スワローズ詩集』」。表紙などには「連作短編『一人称単数』その4と5」と記されているが、これが同誌の昨年7月号に載った「三つの短い話」3編を受けたものであるのはファンには周知の通りだ。5編いずれも「僕」または「ぼく」によって語られている。
この一人称による語りは村上さんの初期作品で使われ、一世を風靡(ふうび)したものだ。その後、村上作品は次第に三人称へと移行していったが、2年前の最新長編「騎士団長殺し」では「私」が復活した。連作の表題が示すように、今回も人称の選択には作家の明確な意図が働いている。
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