メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

今よみがえる森鴎外

/4 「何をどう書いてもよい」 気韻高い文章に惹かれ=作家・瀬戸内寂聴

 自分の文学的才能の有無など考えもせず、ひたすら小説家になりたいという無謀な夢だけに頼って放浪していた頃であった。

 故郷の女学校の友人が嫁いでいるというだけの理由で、東京の三鷹にたどりつき、友人がさがしてくれた下宿に落ち着いた。街道に面したその下宿から数軒先に禅林寺があった。その寺に太宰治の墓があり、その前で新進作家の田中英光が自殺したことで騒ぎがあった。小さな太宰の墓の前には、ファンたちのささげた酒や煙草(たばこ)がいつでも一杯だった。

 その墓の斜め左前に、森鴎外の大きな墓があるのに、太宰ファンの若者たちはほとんど気づかなかった。私はその墓に気づいた時、喜びのあまり、墓場で躍り上がった。以来、毎朝、そこへ詣(まい)りつづけ、太宰の墓詣りもしていた。そのことを、文通していた三島由紀夫に報(しら)せるとすぐ返事がきて、

この記事は有料記事です。

残り1500文字(全文1863文字)

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 新型肺炎、荏原病院院長「万全期し対応 ご安心ください」 帰国の4人受け入れ

  2. 新型肺炎 国内で新たに2人感染確認 奈良在住男性は武漢渡航歴なし、人から人への感染か

  3. 新型肺炎、中国の感染者がSARS上回る5974人 世界で6000人超に

  4. 京都市長選 現職支持団体が「共産党『NO』」広告 著名人の顔写真、許可なく掲載も

  5. 新型肺炎 ウイルス培養に成功、ワクチン早期開発の可能性も 豪研究所

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです