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二つの新薬 製品化した起業家(その1) 成功しても、なお挑戦

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自身も設計に関わった「toberu(トベル)」について話す久能祐子さん=京都市左京区で、川平愛撮影
自身も設計に関わった「toberu(トベル)」について話す久能祐子さん=京都市左京区で、川平愛撮影

 京都・鴨川近くの住宅街。路地のようなエントランスを抜けると、坪庭に立つノムラモミジの鮮やかな赤い葉が目に飛び込んできた。その先には吹き抜けのダイニングホールとキッチンが。奥行きのある空間は、現代的でありながら、どこか京都の町家らしさも漂わせている。

 6月に開設した京都市左京区の「toberu(トベル)」は、社会的課題の解決を目指す起業家を育む滞在型育成施設だ。9人の若者たちがここで4カ月間の共同生活を送り、切磋琢磨(せっさたくま)しながら事業アイデアの実現に向けて準備を進める。

 トベルを運営する株式会社フェニクシー(京都市)は、米国在住の起業家で、投資家でもある久能祐子(くのうさちこ)さん(64)の呼びかけで設立された。久能さんは日米両国でバイオベンチャーを立ち上げ、候補物質から実際に薬になるのは数万分の1とされる医薬品開発の世界で、二つの新薬を製品化した実績を持つ。売り上げは総額9000億円近くに達し、2015年には米フォーブス誌の「米国で自力で成功を収めた女性50人…

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