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社説

民間企業の障害者雇用 モラルが問われる実態も

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 働く障害者が増えている。厚生労働省の調査によると、2018年度に民間企業が雇用している障害者は計82万1000人で、前回調査(13

年度)より20万人近く多い。

 特に伸びているのは精神障害者で、前回より約15万人も増えた。知的障害者も約4万人増加した。

 ただ、就職した障害者の4割以上が1年以内に離職しているという調査結果もある。特に精神障害者の離職率は高い。人間関係のストレスに過敏で、環境によって心身の状態が変化しやすい特性に会社側が配慮できていないからでもある。

 企業の中には、障害者雇用を請け負う会社やNPOと契約し、採用から仕事の提供まで委ねている例もある。障害者と雇用契約は結んでいるが、実態は請負会社にお金を払って雇用率を買っているのと同じだ。モラルが問われるのは当然である。

 精神障害に詳しい福祉施設の協力を得て就労現場の改善に努め、定着率を上げている企業もある。そうした意欲的な企業と、請負会社に「丸投げ」している企業との線引きが難しいため、厚労省もメスを入れられないのが実情だ。

 民間企業の法定雇用率は13年に1・8%から2・0%へ、18年には2・2%へと引き上げられた。

 企業で働くことが難しいと思われてきた障害者についても、企業は採用の枠を広げて雇用率の達成を図ってきた。雇った障害者の仕事を確保するのが難しく、赤字を出しながら雇用に努めている企業も多い。

 雇用率が達成できなければ労働局から厳しく指導され、納付金支払いを命じられるためだ。企業名を公表されるリスクもある。雇用を請け負う会社やNPOの参入が相次いでいる背景にはそうした実情がある。

 政府としては就労する障害者が増えれば、福祉のコスト削減につながる。社会保障費の抑制圧力が強まる中で、「自立」を名目に企業へコストを転嫁しているとの批判もある。

 障害者に企業就労の機会を広げ、自立を促すことは大事だ。しかし、目先の雇用率にこだわって大事なものを置き去りにしてはならない。

 障害者雇用は曲がり角に来ている。働くことを通して生きがいを感じ、社会に参加している実感を得られるような就労を目指すべきだ。

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