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余録

「危惧されたものは五月になって顕在化した…

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 「危惧されたものは五月になって顕在化した。長雨がやまず、日の光を見ることが稀(まれ)な天気がつづき、悪天候は六月になるといよいよ甚(はなはだ)しくなった」。藤沢周平(ふじさわ・しゅうへい)の「漆の実のみのる国」が描く天明飢饉(ききん)の発端である▲月を1月ずらして新暦にすれば、今年の関東地方や東北太平洋岸の空模様のように聞こえる。昭和の初めなら冷害による凶作が心配されただろう。さほどでなくとも26年前の天候不順による“米騒動”を思い出された方もおられよう▲続く梅雨寒(つゆざむ)と日照不足に、昨年の猛暑が懐かしく感じられるから人間というものは勝手である。東京地方では今月前半の日照時間は平年の1割に満たない。同3時間未満の日の連続記録も1961年の統計開始以来の最多を更新した▲その原因は、やはり過去の冷害をもたらしたオホーツク海高気圧から吹く冷たい湿った東風という。さらに梅雨前線を北へ押し上げる太平洋高気圧の勢力が弱く、前線が停滞している。夏の訪れはこの太平洋高気圧の勢力次第という▲梅雨寒が気になるのは、関東で過去最も早く6月中に梅雨明けした昨夏の記憶のせいもある。おかげで夏物衣料や飲料、エアコンなどの商戦も出足でつまずき、猛暑による消費押し上げ効果にわいていた去年の今ごろとは様変わりだ▲「梅雨冷えのサラダのトマト赤きかな」は久保田万太郎(くぼた・まんたろう)の句。キュウリやナスなどの夏野菜もこの日照不足で値上がりしているが、関東以西の各地では来週にも相次いで梅雨明けを迎えそうだという。

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