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視点・’19参院選 消費増税 30年前より熟したのか 論説委員・木村旬

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 今回の参院選は令和改元の直後である。ちょうど30年前の参院選も平成改元の年に行われ、その時は、直前に導入された消費税が批判されて、自民党大敗の要因になった。

 これがトラウマとなり、平成の多くの政権は消費税の議論を封印したり、増税先送りを繰り返したりしてきた。その間、高齢化が進み、社会保障費が急膨張した。一方、人口減少に伴い高い経済成長と税収の大幅増は難しくなった。その結果が1000兆円超の国の借金だ。

 日本の経済や社会の構造は大きく変化した。景気に税収が左右されにくい消費税は、社会保障費の安定財源となる。平成元年の導入時より重要性が高まっている。成熟した国家として議論を深める必要がある。

 令和元年の選挙は長期的観点から負担と給付のあり方を論じるべきだ。なのに政治家はきちんと向き合おうとはしない。

 安倍晋三首相は10月に消費税率を10%に上げる方針を示してはいる。だが借金返済に回すはずだった分を景気対策などに充ててしまった。

 しかも首相は再増税を「今後10年必要ない」と明言した。税収の伸びを理由にしたが、現実的とは思えない。これでは借金漬けは変わらず、将来世代に負担を先送りするばかりだ。

 増税は国民に負担を強いる。慎重な判断が必要だ。だが国民に不人気だからといって成長頼みに逃げ込むのは無責任だ。

 野党は消費増税自体に反対している。だが代わりの法人増税は景気に左右されやすいなどの課題があり、説得力を欠く。

 戦前、軍国主義に反対し「反骨の言論人」と呼ばれた石橋湛山は、首相就任直後の1957年に行った演説でこう語った。

 「民主政治は往々にして皆さんのご機嫌を取る。国の将来のためにやらなければならぬと思っても、歓迎せられないことであるとちゅうちょする」「私は皆さんのご機嫌をうかがうことはしない。ずいぶん嫌がられることをするかもしれないからそのつもりでいてもらいたい」

 石橋内閣は短命に終わり、目立った実績は残せなかったが、姿勢に学ぶことは多い。国の将来像を見据え、不人気な政策でも必要ならば正面から説くのが政治の役割ということだ。

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