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文学に陰あり

志賀直哉「暗夜行路」 大山の美が救う苦悩 /島根

 <……美保の関の白い燈台も陽を受け、はっきりと浮び出した。間もなく、中の海の大根島(だいこんじま)にも陽が当り、それが赤〓(あかえい)を伏せたように平たく、大きく見えた>。主人公、時任謙作(ときとうけんさく)が中国地方最高峰の大山(鳥取県)から夜明けを見つめる最終盤の場面である。

 小説「暗夜行路」は文豪・志賀直哉(1883~1971年)の代表作にして唯一の長編だ。1921~37年の長きにわたり、総合雑誌「改造」に断続的に発表された。

 祖父と母の過失によって生まれた主人公、謙作は小説家だ。結婚話が持ち上がるが自身が思う人とはうまくい…

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