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どうする財政再建

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8%への消費税増税の際には駆け込み需要を狙った商戦が展開された。税率が10%に上がっても財政再建は道半ばだ=千葉県浦安市内のスーパーで2014年3月29日、小出洋平撮影
8%への消費税増税の際には駆け込み需要を狙った商戦が展開された。税率が10%に上がっても財政再建は道半ばだ=千葉県浦安市内のスーパーで2014年3月29日、小出洋平撮影

 政府は10月1日、消費税率を10%に引き上げる予定だ。2019年度の税収は2年連続で過去最高を更新する見通しだが、国の借金である国債は年間30兆円規模で積み上がり、増税後も厳しい財政状況が続く。高齢化で社会保障費のさらなる増大が見込まれる中、今後の財政再建のあり方を考える。

欧州並み消費増税案示せ 小野善康・大阪大社会経済研究所特任教授

 国債への信認はある日突然崩れ、そうなったら後戻りはできない。2022年には団塊の世代が75歳以上になり始め、社会保障費が一段と増加する。国と地方の長期債務残高は既に国内総生産(GDP)比で約200%と主要国で例のない水準に達しており、日本で国債発の金融危機が起きる可能性は否定できない。危機を回避するため、政治家や政府は消費税率を欧州各国並みの20~25%に上げる計画をすぐにでも策定し、財政再建の道筋を示すべきだ。

 民間でも政府でも、サービスを提供すれば費用がかかり、サービスを受けた者が負担するのは当然だ。公共サービスなら税金を払うことになる。「税金は払わない。その代わり公共サービスは要らない」というのも一つの選択肢だが、国の形として問題がある。経済格差が拡大し、極端な貧困も生まれて社会不安が広がってしまうためだ。

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