
政府は10月1日、消費税率を10%に引き上げる予定だ。2019年度の税収は2年連続で過去最高を更新する見通しだが、国の借金である国債は年間30兆円規模で積み上がり、増税後も厳しい財政状況が続く。高齢化で社会保障費のさらなる増大が見込まれる中、今後の財政再建のあり方を考える。
欧州並み消費増税案示せ 小野善康・大阪大社会経済研究所特任教授
国債への信認はある日突然崩れ、そうなったら後戻りはできない。2022年には団塊の世代が75歳以上になり始め、社会保障費が一段と増加する。国と地方の長期債務残高は既に国内総生産(GDP)比で約200%と主要国で例のない水準に達しており、日本で国債発の金融危機が起きる可能性は否定できない。危機を回避するため、政治家や政府は消費税率を欧州各国並みの20~25%に上げる計画をすぐにでも策定し、財政再建の道筋を示すべきだ。
民間でも政府でも、サービスを提供すれば費用がかかり、サービスを受けた者が負担するのは当然だ。公共サービスなら税金を払うことになる。「税金は払わない。その代わり公共サービスは要らない」というのも一つの選択肢だが、国の形として問題がある。経済格差が拡大し、極端な貧困も生まれて社会不安が広がってしまうためだ。
この記事は有料記事です。
残り3402文字(全文3933文字)