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社説

「嫌いなら出ていけ」 米大統領の極まる非常識

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 トランプ米大統領が非白人の女性議員らに「もといた国に帰ったらどうか」と食って掛かり、米下院が非難決議を採択した。大統領への非難決議は約100年ぶりという。

 問題となったのは、トランプ氏のツイッターだ。「世界で最も腐敗し崩壊した国から来た」と決めつけ、「国に帰って、犯罪まみれの国を立て直したらどうか」と述べた。

 トランプ氏の移民政策を批判するアフリカ系などの民主党の新人下院議員4人に向けた発言だった。民主党が猛反発したのは当然だろう。

 決議は「人種差別発言」と断定し「新米国人や有色人種への恐怖や憎悪を正当化した」と糾弾した。

 驚くのは、こうした排斥発言が国民を保護すべき大統領から飛び出したことだ。トランプ氏は「人種差別ではない」というが、発言がもたらす影響を想像できないのだろうか。

 米国はもともと移民国家だ。移民の中には紛争や圧政から命からがら逃げのびてきた人もいる。

 トランプ氏に狙い撃ちされた一人のオマル下院議員は幼少期に内戦下のソマリアから米国に移住した。辛苦をなめた移民に「国に帰れ」と言える冷酷さはどこからくるのか。

 トランプ氏が強硬な移民政策をとるのは、大統領再選に向け支持基盤の白人層に訴える狙いだろう。

 トランプ氏は「この国が嫌いなら出ていく自由はある」と批判を意に介さない。票のためには排斥主義も構わないというなら、言語道断だ。

 オマル氏らは米国への奉仕精神があるからこそ、下院議員にまでなったのだろう。彼女らの批判の矛先は米国ではなくトランプ氏である。

 トランプ発言がとりわけ懸念される背景に、白人至上主義の思想の広がりがある。白人至上主義の団体は急増し、事件も多発している。

 極右の活動を活発化させ、人種対立の火に油をそそぎかねない。政治の役割は分断をあおるのではなく、その溝をどう埋めるかだろう。

 「移民のおかげで米国は永遠に若々しく、エネルギーと新しいアイデアにあふれている」。決議は、共和党保守派で知られるレーガン氏の大統領時代の演説を引いている。

 偏狭さを排し、多様性に富む移民国家を説いた先人のこの言葉にトランプ氏は耳を傾けるべきだ。

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