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社説

アポロ月着陸から50年 様変わりした宇宙の利用

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 3人の宇宙飛行士を乗せたアポロ11号の月面着陸から50年を迎えた。米時間の1969年7月20日、人類が初めて月を踏む様子は世界に中継され、人々は息をのんで見守った。

     アポロ計画の意義は、人類の活動域を宇宙に広げたことにとどまらない。派生したさまざまな技術や新素材が暮らしを大きく変えた。アポロに刺激されて科学者や宇宙飛行士になった人は多い。

     この半世紀、宇宙産業が育ち、利用の裾野が広がった。宇宙は「見上げるだけ」の存在から「いつか行く」存在へと変わりつつある。

     宇宙の覇権をめぐる情勢も様変わりした。最大の変化は「宇宙強国」を掲げる中国の台頭だ。

     今年1月には、無人機を月の裏側に着陸させた。有人化を見据え、月の希少資源探査や火星探査のための月面基地を建設する計画もある。

     中国は、日米欧露など15カ国が運用する国際宇宙ステーション(ISS)計画に参加していない。独自路線をひた走る中国への警戒感が、各国に広がっている。

     そんな中、米政府は5月、予定を前倒しして5年以内に月に再び人を送るとする「アルテミス計画」を公表した。米仏は宇宙軍の創設に向けて準備を進める。50年前、米ソが競った宇宙は、各国の思惑が交錯する「第4の戦場」になった。

     だからこそ、求められるのは競争ではなく協調である。

     宇宙活動にかかわるルールには、「宇宙の憲法」といわれる宇宙条約がある。しかし発効した67年当時とは状況が激変しており、空文化が否めない。月の専有や資源採掘を規制する「月協定」も、日本を含む宇宙先進国は批准すらしていない。

     一方、宇宙の持続可能な利用のためのガイドラインが6月、国連宇宙空間平和利用委員会で採択された。違反しても罰則はないが、賛成した国は順守を求められる。

     日本は、採択に反対する中露の取り込みに協力した。増え続ける宇宙ごみ対策や、観測衛星を使った防災対策などでも存在感を示す。大国の軍事競争とは一線を引いた日本らしい貢献といえる。

     もとより宇宙に国境はない。これからは各国が利害を超え、宇宙を賢明に利用する50年にしたい。

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