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余録

その昔、ナイル川上流域に住むシルック族の王は…

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 その昔、ナイル川上流域に住むシルック族の王は病気や老いの兆しを見せてはならなかった。見せればすぐに殺されたのだ。王の衰えは直ちに家畜の病気や、作物の凶作、疫病などをもたらすと信じられていた▲英人類学者フレーザーの「金枝篇(きんしへん)」が紹介する「王殺し」の一例である。王は部族の始祖の神霊を継承する器のようなもので、王の衰えや死は神霊そのものを衰亡させると考えたのだ。そんな王のなり手がいたのが現代人には驚きだ▲今日の民主国家の権力は「選挙」という政治家や政党の死と再生の祭儀を通して継承される。この厳しい儀礼をくぐり抜けた政権は、得られた国民の支持を新たな政治的な霊力として蓄え、直面する政治課題の解決に用いるのである▲6年半の安倍晋三首相の政権運営への審判である参院選だった。与党は改選過半数の議席を大きく超えたから政権への信任を主張できる勝利には間違いない。首相その人にあっては“衰え”を見せぬまま、国政選挙6連勝を果たした▲選挙で有権者が選ぶのは議員、政党だけでない。結果的に2大政党制や1党優位制、多党制などその国の政党システムも選んでいる。今回有権者は与党の安定的優位を確保したうえで、立憲民主党を野党の軸にすえる体制を選択した▲党総裁任期が切れる再来年までに首相はこの蓄えた霊力をどのように用いるのか。人口減少社会の未来設計という未曽有(みぞう)の難問に本気で取り組むなら、持てる霊力のすべてを注いでもなお足りないはずだ。

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