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映画

「アルキメデスの大戦」本日公開 「大和」巡る頭脳戦

「アルキメデスの大戦」の一場面。終盤の会議室のシーンは手に汗握るどんでん返しの連続(C)2019「アルキメデスの大戦」製作委員会/(C)三田紀房/講談社

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 戦艦「大和」建造をめぐる海軍幹部と天才数学者との頭脳戦を描いた歴史エンターテインメント映画「アルキメデスの大戦」(毎日新聞社など製作委員会)が本日、全国公開される。三田紀房さんの同名人気漫画を実写映画化。若手トップクラスの人気と実力を兼ね備えた菅田将暉さんが、主人公の天才数学者、櫂直(かいただし)を演じている。「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズや「永遠の0」などのヒットメーカーで、今作品を監督した山崎貴さんと、原作者で「ドラゴン桜」など希代のストーリーテラーとして定評のある三田さんのインタビューで、映画の見どころをお届けする。【鈴木隆】

    「映画は原作に沿った形でできている」と作品の出来を満足げに語る原作者の三田紀房さん

     映画を見た三田さんは「120点のできばえで大満足。脚本もすばらしく、内容への注文など全くなかった」と満面の笑みを見せた。キャストの熱演、とりわけ菅田さんの演技を絶賛。「目に力があって引き込まれた。図面を引くシーンなども格好よく、ピッタリの配役。代表作になってほしい」と手放しの喜びようだ。映像についても「VFX(視覚効果)による画面のリアリティーと迫力に鳥肌が立った」と話す。

    数学者で軍隊嫌いの櫂直を演じた菅田将暉さん。山崎貴監督は「すごいものを見せてくれた)」と絶賛した(C)2019「アルキメデスの大戦」製作委員会/(C)三田紀房/講談社
    「冒頭5分半の『大和』沈没シーンに、本作のデジタル技術の3分の2をやした」と話す山崎貴監督

     山崎監督は長年、大和への関心を抱いてきたが、原作の持つ「新しい切り口」に感銘を受けた。入念なリサーチと最新のVFXを駆使し、臨場感を追求。「左舷を攻撃され、大爆発して船体がひっくり返る。映画の中で『大和』の沈没シーンは繰り返されてきたが、この映画では見たことのないリアルな沈没を描けた」と自信を見せた。「大和の壮絶な最期をリアルに見せることで、戦争に前のめりになってしまった当時の空気、時代のうねりを表現したかった」という。「今の日本のきな臭さ、戦争につながる空気を体感してほしい」と言葉に力を込める。「この映画は反戦映画です。日本が今置かれている現状みたいなものを寓話(ぐうわ)的に伝えている気がして、どうしても撮りたいと考えた」と山崎監督は続けた。

     一方、三田さんは、“時代”という視点から、現実社会での若者のジレンマを投影したという。「若い人にとって、戦争はとっつきにくいテーマ。主人公の櫂は理詰めの人だが、映画終盤の見どころである会議室の場面では、論理ではなく政治力に支配されてしまう。今の時代も、若い人は論理が通用しないジレンマを抱えながら成長せざるをえない」。正しいことを主張しても、くつがえされてしまう現実を心がけながら、作品を描き続けてきた。戦争に限らず、こうした立場に立ったらどんな決断をするか、自問自答の連続だったと話す。

     「数学は論理の象徴みたいなもの。読者に分かりやすく伝えるには、数学に特化したキャラクターの櫂はまさにピッタリだった」。感情を排そうとする人物と感情的な人物のぶつかり合い。そこに対立構造を作り、「静」であるはずの天才数学者・櫂を執拗(しつよう)に動かすことで、巧みにドラマ性を作り出した。

     三田さんが編み出した「静」と「動」、対立構造のコントラストを、山崎監督が見逃すわけがなかった。「戦争ものや会議室ものは、映画業界ではヒットしにくいジャンルと言われている。だからこそ、当たる映画に仕上げてみたくなった。面白く撮れたらすごいという気持ちもあった」。ヒットするかどうかが難しい作品への挑戦は、SFX(特殊撮影効果)などで参加した伊丹十三監督作品の影響だという。「“売れ線”じゃない題材をヒットさせると何倍もうれしいんです」と本音をのぞかせる。

     日本映画界ではまれな、ヒット作が相次ぐ驚異的な監督。本人は「それほどヒットしているとは思わない。打率はいいとは思いますが」と話すが、「三丁目の夕日」シリーズ、「永遠の0」「STANDBYMEドラえもん」「寄生獣」「DESTINY 鎌倉ものがたり」とヒット作は尽きない。

     本作では「面白い人をそろえる」という山崎監督の意向もかない、笑福亭鶴瓶、小林克也、小日向文世、國村隼、橋爪功、田中泯、舘ひろしといった、映画界でも実力十分の芸達者たちの名前が並ぶ。若手演技派の菅田将暉、柄本佑を中心におき、脇役を豪華な布陣にして、後半の怒濤(どとう)のような葛藤と、どんでん返しを生み出している。「このベテラン俳優たちが口げんかしたら絶対に面白いという人に来てもらったんです」

     <あらすじ>

     1933年、日本は欧米列強との対立を深め、軍拡路線を歩み始めていた。海軍省幹部は秘密裏に世界最大の戦艦建造を計画していたが、海軍少将の山本五十六(舘ひろし)は「今後の海戦は航空機が主流。巨大戦艦の建造は予算の無駄遣い」と主張。独自に見積もりの不備を算出しようと元帝国大学の数学者、櫂直(菅田将暉)に協力を要請する。海軍中枢に飛び込んだ櫂は、妨害工作を受けながらも巨大戦艦の秘密に迫っていく。天才数学者と海軍の頭脳戦が始まった……。

     <スタッフ・キャスト>

    監督、脚本、VFX:山崎貴

    原作:三田紀房

    撮影:柴崎幸三

    照明:上田なりゆき

    美術:上條安里

    録音:藤本賢一

    音楽:佐藤直紀

    出演:菅田将暉、柄本佑、浜辺美波、笑福亭鶴瓶、小林克也、小日向文世、國村隼、橋爪功、田中泯、舘ひろし

    戦艦「大和」沈没時の爆発、乗務員の目線、水中の様子などを綿密に映像化。悲惨な最期を細部に至るまで描いた(C)2019「アルキメデスの大戦」製作委員会/(C)三田紀房/講談社
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