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的川博士の銀河教室

558 人類初の月面着陸から50年/2

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大統領の歴史的演説

 1961年5月25日、米国のケネディ大統領が、議会で「国家の緊急(きんきゅう)な必要性」と題する歴史的演説をしました(写真1)。その核心(かくしん)は以下のような言葉です。

     「私は、1960年代の終わりまでに、人間を月に着陸させ、安全に地球に帰還(きかん)させるという目標の達成に、わが国が取り組むべきだと確信しています。この期間のこの宇宙プロジェクト以上に、より強い印象を人類に残すものは存在せず、長きにわたる宇宙探査史においてより重要なものも存在しないことでしょう。そして、このプロジェクト以上に完遂(かんすい)に困難を伴(ともな)い費用を要するものもないでしょう」

     ケネディがこの演説をした時点では、米国は、そのわずか1カ月前に、アラン・シェパード飛行士がわずか15分あまりの弾道飛行(だんどうひこう)をしたという実績しか持っていませんでした。そんな段階から、月までは遥(はる)かに遠く、ましてや月面着陸など、まともに考えれば無謀(むぼう)の極致(きょくち)と思う人も大勢いたのです。

     一方旧ソ連はすでに61年4月12日にガガーリンが地球を一周する軌道(きどう)飛行をしていました。ケネディは国の威信(いしん)と名誉(めいよ)をかけて、この大計画を発表したのです。

     米国の若者たちが、月をめざす夢の計画に続々(ぞくぞく)と集まってきました。当時米国は、ベトナムで戦争をしており、その兵器の開発に携(たずさ)わっている青年たちの中には、「人を殺す兵器よりは、未来をひらく仕事がしたい」という思いを強く抱(いだ)いて、軍事産業からNASA(米航空宇宙局)のアポロ計画に転身した人がたくさんいたそうです。国の政治が夢を作り出し、そのために一生懸命(いっしょうけんめい)働く人たちがどんどん元気になっていく--ケネディ大統領はアポロ計画を、そのような狙いをもって打ち出したのです。

     1人乗りのマーキュリー宇宙船から2人乗りのジェミニ宇宙船へと、人間の宇宙飛行の経験が積み上げられていきました。そして3人の飛行士が地上テスト中の宇宙船の火事で死亡するという悲劇(アポロ1号)を経て、ついに3人乗りのアポロ宇宙船が完成しました。それを月まで運ぶロケットともども、数々(かずかず)のテストと飛行が繰(く)り返(かえ)され、69年7月16日、フロリダ州のケープカナベラルから、3人の飛行士が飛び立ちました(写真2)。

     サターン5ロケットの先端(せんたん)に乗ったアポロ宇宙船に搭乗(とうじょう)しているのは、ニール・アームストロング、バズ・オルドリン、マイケル・コリンズの3人です(写真3)。さあいよいよその歴史に残る旅を追っていきましょう。(つづく)


    的川泰宣(まとがわやすのり)さん

     長らく日本の宇宙開発の最前線で活躍(かつやく)してきた「宇宙博士」。現在は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の名誉(めいよ)教授。1942年生まれ。


    日本宇宙少年団(YAC)

     年齢・性別問わず、宇宙に興味があればだれでも団員になれます。 http://www.yac-j.or.jp


     「的川博士の銀河教室」は、宇宙開発の歴史や宇宙に関する最新ニュースについて、的川泰宣(まとがわやすのり)さんが解説するコーナー。毎日小学生新聞で2008年10月から連載(れんさい)開始。カットのイラストは漫画家(まんがか)の松本零士(まつもとれいじ)さん。

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