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晴レルデ

おもい-つくる/20 遊び心と気配りと

ヘリンボーン模様の床に、エンジェルと名付けた人形とガイコツ、そしてシマダタモツさん=写真・岩本浩伸さん

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 シマダタモツさんの仕事ぶりに迫るべく、シマダデザインの事務所を訪ねた。工場やマンションが混在する、大阪・難波の西の外れの木材倉庫の2階。約390平方メートルの広さを気に入って、2016年の暮れに引っ越した。

     十数年前に出会った頃、京橋にあった事務所は外壁が真っ赤っかなビルだった。今度の事務所も遊び心に満ち満ちている。打ち合わせスペースは3室をぶち抜き、天井を取っ払った。屋根の鉄骨は黄色、スレートはグレー。明色と暗色の取り合わせが利いている。海外の上質なペンキを使った、どこにもない黄色とグレーだ。

     視線を下に転じれば、床は山形を組み合わせたヘリンボーン模様。1人の職人さんが約1カ月もかけて床板を張り合わせた労作だ。その床にはガイコツが立っている。ミニのワンピースを着たお人形さんもいる。これは以前、ある会社の社内案内表示を製作した工房からもらった。ここは何階とかを示すサインに人形を使った。外にはドーベルマン、社長室には愛人の人形--といった具合。「ここに人がおったらオモロイやろな、視線が行くし」という発想。「相当ヘンやった」と本人が苦笑するが、これがディスプレイデザイン大賞に輝いた。

     大人の隠れ家みたいで、なんか落ち着いてしまう。シマダさんは「無駄なスペースができた」と満足そうなのだ。無駄、言い換えれば遊びがないと、「誰も見たことないもの」は作れないと思うからだ。

     グラフィックデザイナーという仕事に必要なのは何?と尋ねてみた。発想力という答えを予想していたら、「気配り」と返ってきて、全く意表を突かれた。どういうこと?

     「クライアントさんが何を思ってるかとか、気付くことが大事。お客さんにコーヒー2杯出すのでなく、2杯目はお茶出すとか。こういうところに人間性がめっちゃ出る」

     相手の意をくまないで、独りよがりでは「喜ぶ顔」は見られないということか。それにシマダさんは一見取っつきにくい風体だが、人当たりは丁寧で礼儀正しい。

     「たぶん、師匠とこにおる時かなあ。鍋作る時、なんでそれから入れんねん。お前は気配りができんと。師匠は起きたら、殴り書きでうわーっと企画書書くのを、そのころ200万円したワープロで打たなあかん。読めないけど、いちいち聞いたら怒られるから、まとめて聞こう、とか」

     子どもの頃はヤンチャで、母親は何度も学校に呼び出された。父親を早くに亡くし、母親が女手一つで育ててくれた。デザインの道を志して専門学校に入るも、「矢印100描けと言われて、なんでそんなことせなあかんねん」と1学期で中退。「オカンの喫茶店の客の紹介」で、弟子入りしたのだった。

     3年後、その事務所がよそに吸収されることになり、「師匠には師匠でいてほしかった。雇われの姿を見たくなかった」と事務所を辞める。そうして、もう1人の師匠、ミヤさんと出会い、鍛えられる。そのミヤさんは5年前に亡くなった。先日、一緒に酒を飲んでいて、ミヤさんの話になったらシマダさんはボロボロと男泣きした。<文・松井宏員/写真・岩本浩伸/デザイン・シマダタモツ>

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