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余録

「あんどんで真っ赤なうそを…

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 「あんどんで真っ赤なうそを売っている」。江戸のスイカ売りは赤いあんどんを掲げて商売をした。夜、切り売りのスイカを少しでも赤く見せたのだ。スイカを切ると赤くも甘くもないことのあった時代だ▲だから昼間に切り売りすれば、「たち割って赤心(せきしん)見せる西瓜(すいか)売り」ということになる。赤心とはうそのない真心である。丸ごと買っても中身を心配しないでよくなったのは、明治以降に米国や中国の改良品種を輸入してからだという▲アフリカ原産で、もともと赤くも甘くもなかったスイカという。古代エジプトでは水分だけを目的に栽培され、欧州やアジアに広がるうちに赤いスイカになった。スイカを切った時の江戸っ子の一喜一憂は人類の多くが経験したのだ▲気象キャスターの田代大輔(たしろ・だいすけ)さんによれば、スイカがよく売れるのは気温が30度前後の時季だそうだ。27度以下だとメロンなど糖度の高いものが売れ、35度を超える猛暑となると水分摂取優先の清涼飲料水になる(「お天気歳時記」)▲暑さといえば今夏の欧州がすごい。先日はパリで42・6度の観測史上最高気温を記録、ドイツやベルギーなどでも高温記録を更新した。先の説によればスイカには暑すぎるが、ミネラルも豊富なその水分で熱中症を免れた人もいよう▲「水は毒でござりますると西瓜売り」。食あたりのない水分補給も売り込んだ江戸のスイカ売りだった。川柳子に何度も舌を巻かせた商魂に敬意を表すのも良し、列島はちょうどスイカのおいしい暑さである。

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