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社説

法制審で「懲戒権」議論へ 虐待正当化の根拠削除を

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 親権者が子を懲らしめることを認める民法の「懲戒権」を見直す議論が、法相の諮問機関である法制審議会で近く始まる。

     親子にかかわる規定であり、虐待など子の不利益を招きかねない。積極的に正していく必要がある。

     民法は、教育に必要な範囲で親権者が子を懲戒できると定める。

     元々は子の非行などを矯正するのが目的で、明治時代に設けられたものだ。暴力を容認するような規定ではない。

     前国会で成立した改正児童虐待防止法には、子のしつけに際して体罰を加えてはならないと明記された。ただし、懲戒権との関係をどう整理するのかが課題として残された。

     法制審に先立ち、法務省は有識者による研究会でこの問題を議論してきた。今月まとめた報告書では(1)懲戒権の規定を削除する(2)「懲戒」を別の表現に置き換える(3)懲戒権の行使として許されない範囲をさらに明確化する--との選択肢を示した。

     法制審での議論は、この3点を中心に進むとみられる。

     「懲戒」を別の表現に置き換える例として、研究会では「しつけ」が挙がった。教育やしつけがそれぞれの家庭で必要なことは言うまでもない。ただし近年、しつけの名の下で子供を虐待するケースが相次いだことは見逃せない。

     千葉県野田市で女児が虐待死した事件で、父親は「しつけのためだった」と供述している。

     その結果、食事を与えなかったり、眠らせず寒い場所に長時間立たせ、冷たい水を浴びせたりといったむごい虐待が行われた。

     しつけという言葉は人によって解釈が異なり、体罰を伴う強力な親の権利とのイメージを抱く人がいるのではないか。文言の置き換えでは、虐待を防ぐことにつながらない恐れが残る。

     また、懲戒権として許されない範囲を明確にすることは果たして可能だろうか。禁止項目をいくら積み重ねたところで、結局は抜け道ができてしまうのではないか。

     これ以上、悲惨な虐待事件を生んではならない。しつけに伴う体罰が禁止された以上、親が虐待を正当化する根拠となるような懲戒権の規定は削除すべきだ。

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