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黒武御神火御殿-三島屋変調百物語六之続

/350 第四話 黒武御神火御殿=宮部みゆき 題字・絵 藤枝リュウジ

 二葉屋の主人夫婦は、お秋に暇を出すこともなく、淡々と働かせた。

「本当に有り難いことだと思います」

 その恩があったから、お秋も、後に病で寝付いてしまった二葉屋のおかみを親身に看取(みと)ったのだろう。

「これからも、変わらずに忠勤なさい」

 説教がましいのは承知の上で、富次郎は言った。

「甚さんのことは忘れっこないよね。だが、それ以外のことは忘れていい。この三島屋の変わり百物語が、まるごと聞き捨てにしてしまうからさ」

 その言葉には、富次郎が恃(たの)んでいる以上の効き目があったようだ。頑(かたく)なな険を刻んでいたお秋の目元が、初めて緩んだ。

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