ヒロインは住み込みのメイド、雇い主の青年アシュヴィンはハンサムで心やさしい。だから当然のように身分と階級を超えた恋物語になるんですが、型どおりのシンデレラストーリーとは正反対に、至って渋い。その渋さのなかにインド社会の姿が見えてきます。
地方の村から大都市ムンバイまでやってきたラトナが働くのは、街中にそびえ立つような高層マンション。住まいは広々とした贅沢(ぜいたく)なマンションのごく小さな一角です。まだ19歳の時結婚しましたが、夫が病死したため、新婚4カ月で寡婦。今はメイドをしながら妹の学費を仕送りする毎日です。
いまメイドと書きましたが、ラトナの仕事はメイドとか家政婦などと言うよりも、身分差別を伴う言葉であることを承知で使うなら、召使とか女中と呼んだ方がぴったりくるもの。雇い主との間には身分の違い、住む世界の違いがあるんです。
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