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黒武御神火御殿-三島屋変調百物語六之続

/351 第四話 黒武御神火御殿=宮部みゆき 題字・絵 藤枝リュウジ

「売れてしまったんですか」

「はい。いいお客様がつきまして」

 店主の出してくれた円座に腰掛け、庇(ひさし)を打つ梅雨(つゆ)の忍びやかな雨音を背中に、富次郎はその話を聞いた。

「ああいう絵を喜んで買ってくださる方は好事家に決まっておりますが、それにしても珍しく面白いお方でした」

 商家の隠居だというその客は、若いころから幽霊画ばかりを集めてきた、と言った。家の奥の一間に買い入れたものをずらりと並べて掛け、もちろん掛けきれないから、ときどき入れ換える。

「その幽霊画が、やかましく喧嘩(けんか)するんだそうですよ」

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