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“帝国の残影”海外神社を訪ね200カ所 横浜で写真展

サイパン島の泉神社跡=2015年10月、稲宮康人さん撮影

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 戦中・戦前、アジアを中心に建てられた「海外神社」の跡地を撮影した写真展「『帝国日本』の残影」(神奈川大学非文字資料研究センター主催)が31日、横浜市西区の横浜市民ギャラリーで始まった。川崎市在住の写真家、稲宮康人さん(44)が10年をかけて、14の国と地域の計200カ所の神社を訪ねたライフワークの集大成。海外神社に関する記録は乏しく、実際に現地に足を運んで撮影した膨大な写真群は戦後の歴史学上の貴重な資料だ。稲宮さんは「大日本帝国が外地で神社建設に投入したエネルギーの大きさを感じてほしい」と話す。

記者の質問に答える写真家の稲宮康人さん=東京都千代田区で2019年7月8日、藤井達也撮影

 海外神社は日本政府や日本軍、現地の日本人や統治組織などが創建。人々の安寧を願うと共に、日本統治や皇民化政策の象徴になった。植民地政策上、大きな役割を果たし、強制参拝の報告もある。

 神社を地図に点で落とせば、そのまま大日本帝国の勢力図に重なる。その数1600社以上とされ、敗戦と同時に焼かれたり、日本人が壊したりした例もあった。多くは近代化の過程で姿を変えていった。

インドネシア・北スマトラ州の紘原神社跡。高級飲食店になっている=2017年3月、稲宮康人さん撮影

 写真展には48作品を展示。サイパン島では鳥居がジャングルの木々に覆われ、インドネシアでは社殿が高級飲食店になっていた。跡地が公園、駐車場、ビル、住宅地に変貌した例も見て取れる。「並べると国ごとの傾向が見えてきます」と稲宮さん。大判カメラ(4×5インチ=102×127ミリ)に三脚、暗幕をかぶり撮影した。移動も作業も大変だが、「引き伸ばしたときの迫力が違います」と話す。かつての神社の姿を示す、絵はがきなどの資料も展示している。

ロシア・サハリン州の樺太護国神社跡=2009年10月、稲宮康人さん撮影

 海外神社の撮影を始めたのは2008年。近代に国内で建てられた神社が敗戦後も継続した一方で、海外の神社はその機能をほぼなくした。両者を撮影して並べれば面白いと考えたという。旧満州(中国東北部)や樺太、旧南洋群島など、大日本帝国が支配した地域を巡る旅が始まった。会社員生活の傍ら、時間と費用を捻出。多くの神社は国内のわずかな資料や証言をたどり、現地での情報収集を重ねて場所を特定した。

 稲宮さんは「敗戦濃厚な時期にも、神社の拡張を計画していました。一つのシステムが動き始めると、止めることができないことがよく分かります」と話している。

 8月4日まで。入場無料。問い合わせは同センター(045・481・5661)。【棚部秀行】

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