SUNDAY LIBRARY

岡崎 武志・評『空と湖水』『七〇年目の風に吹かれ 中川五郎グレイテスト・ヒッツ』ほか

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今週の新刊

◆『空と湖水 夭折の画家 三橋節子』植松三十里・著(文藝春秋/1700円)税別

 似た名前の女性画家・三岸節子がいてまぎらわしいが、植松三十里(みどり)『空と湖水』は、35歳で亡くなった特異な日本画家・三橋節子の生涯を小説化。三橋は、梅原猛の評伝『湖の伝説』で世に知られた。

 三橋は京都府出身。父親は京大教授で裕福な家に育つ。京都芸術大美術学部を出た奥手のお嬢さんだった。5歳年下の日本画家・鈴木靖将と出会って運命が変わる。その2人の出会いと結婚までが初々しく描かれる。

 互いに尊敬し合い、慈しみ合い高め合う芸術家夫婦に子どももできた。しかし悲劇が彼女を襲う。鎖骨腫瘍のため利き手の右手を切断。残った左手でなお制作を続け、代表作「湖の伝説」「三井の晩鐘」を生む。そして35歳の若さでこの世を去った。

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