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話題になっている『文芸』秋号の特集「韓国・フェミニズム・日本」は、韓国の大ベストセラーで日本でも評判になった、チョ・ナムジュの長篇(ちょうへん)『82年生まれ、キム・ジヨン』(筑摩書房)をはじめとする、韓国のフェミニズム文学を手がかりにしたものだ。しかし、その横で日本のフェミニズム文学のあり方が問われ、そうして日韓両方の作品が対比されるなかで、さらに韓国と日本の関係まで考えさせられるところが、素晴らしい。
チョ・ナムジュの短篇「家出」(小山内園子/すんみ訳)は、会社人間だったらしい老いた父親の家出という話題の周囲に、現代韓国のあり方や世代ごとの性差のイメージを浮かび上がらせる好短篇。またキム・ジュンイルのイラストを配したハン・ガンの短篇「京都、ファサード」(斎藤真理子訳)は、日本に留学して結婚してしまった女友だちへ語りかけるという形式で、女同士の友情とすれ違いを叙情的に語り、強く印象に残る。
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