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熱狂ゲノム

人間をはじめ全ての生物が持つ遺伝情報「ゲノム」。最先端の研究機関が研究を独占する領域だったが、新技術の登場で医療や食品のほか趣味の世界にまで爆発的に広がろうとしている。この熱狂ぶりはどこに向かい、何をもたらすのか。第1部は自然環境やペットなど身近に迫るゲノム技術の現状を追う。

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第1部 身近に迫る技術/1(その2止) 殺さず減らす新技術 「改変魚たちは宝の山」研究者

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 三重県玉城町にある水産研究・教育機構の研究室。その一画に温度管理された100個もの小型の水槽が整然と並び、体長10センチほどのブルーギルが1匹ずつ飼育されている。「水槽に入っているのは、特にうまく遺伝子改変できた魚たち。私たちにとって、まさに宝の山なんです」。研究を主導する機構の岡本裕之グループ長(51)が熱く語る。

 研究グループが目指すのは、ゲノム編集の技術を使って外来魚を駆逐するという世界的にも非常に珍しい取り組みだ。きっかけは2012年ごろ、機構に漁業者から寄せられた「在来種を食べてしまう外来魚の問題を何とかしてほしい」という切実な訴えだ。当時、農作物や養殖魚の品種改良にゲノム編集を用いる研究が注目を集め始めており、「この技術は外来魚駆除にも応用できる」と考えた。

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