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社説

縮小する日韓交流 草の根絶やすのは残念だ

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 日韓関係悪化のあおりで、草の根交流にも影響が出始めている。

 韓国の釜山(プサン)市は、日本との行政交流を中断すると発表した。朝鮮半島南端にある釜山は歴史的に日本との交流が活発だったが、両国関係が改善するまで友好関係にある長崎県などへの訪問を見送るという。

 また韓国・瑞山(ソサン)市は姉妹都市の奈良県天理市に交流事業の一時停止を伝えた。昌原(チャンウォン)市はサッカーチームや合唱団の岐阜県大垣市への訪問延期を申し入れた。いずれも青少年交流の一環だった。

 自治体国際化協会によると、日韓の間では162の自治体が姉妹・友好都市提携を結んでいる。日本の自治体の提携数としては米国、中国に次いで多いのに、交流見送りの動きが続々と出てきている。

 交流中断を決めた韓国側は、日本の韓国に対する輸出規制強化を問題視している。釜山市は、規制措置の撤回を求める文在寅(ムンジェイン)政権に足並みをそろえたと主張した。

 しかし、政府間の関係とは別に、市民レベルで相互理解を深めようというのが姉妹都市提携の本来の趣旨だったはずだ。政府同士の緊張が高まっている時こそ国民交流が重要なのに、残念である。

 文氏は、国民が一致団結して輸出規制問題に当たるよう積極的に旗を振っている。こうした姿勢が交流中断を間接的に後押ししている。

 河野太郎外相は「自治体間交流は国民交流の柱なので、しっかりやってほしい」と強調する。しかし、日本も静観以上のものは見えてこない。厳しい世論を背景に、韓国の対応に冷ややかな視線を送っているだけではないか。

 日本政府は8月2日にも、輸出手続きを優遇する「ホワイト国」から韓国を外す政令改正を閣議決定する。韓国政府は除外しないよう求めており、正式に除外されれば韓国の対日感情は一層悪化しよう。

 さらに、8月15日には日本の植民地支配からの解放を祝う「光復節」が控える。双方のナショナリズムがただでさえ高まりやすい時期だ。

 日韓が国交正常化した1965年に1万人だった両国の往来者は、昨年1000万人に達した。市井の人々の重層的な関係は広がり続けている。逆戻りさせてはならない。

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