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神と喧噪の南アジアから

ニューデリー支局記者。1982年生まれ。2005年に入社し、福井支局、大阪社会部などで勤務。宗教と民族の多様性、発展と貧困、政治の混乱など様々なキーワードでくくれる南アジア。今何が起き、そしてどこへ向かうのか。将来を展望できるような情報の発信を目指します。

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取材後記 ドーハで見たタリバン(下)

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当事者間対話の前に話し込むタリバンのメンバー=ドーハで2019年7月8日、松井聡撮影
当事者間対話の前に話し込むタリバンのメンバー=ドーハで2019年7月8日、松井聡撮影

「他者」に対する不信感

 「タリバンは自分たち以外を誰も信用していない。長年にわたりいろいろと裏切られてきたと感じているからだ。とりわけ外国や外国人に対する猜疑(さいぎ)心は根深い」。タリバンを長年取材してきたパキスタン人ジャーナリストはこう解説する。

 外国に対する不信感は、欧米だけなく、関係が深いとされている隣国パキスタンに対しても同様だという。パキスタンの軍情報機関(ISI)は、タリバン発足当初から支援をしてきたとされる。タリバン幹部によると、意思決定機関である「指導者評議会(クエッタ・シューラ)」のメンバーの多くは現在もパキスタンに住み、政治事務所の中にもISIと密接な関係があるメンバーもいる。それでも、このタリバン幹部は「メンバーの多くがパキスタンの重要性は認識しているが、心の底では信じていない」と指摘する。

 彼は、タリバン政権で駐パキスタン大使を務めたアブドゥルサラム・ザイーフ氏を例に挙げた。ザイーフ氏は政権崩壊後、米軍に引き渡されてグアンタナモ米海軍基地に収容された。タリバン内では、これがパキスタンの裏切りによるものだと受け止められている。このようなケースが積み重なって、パキスタンへの警戒感につながっている。このジャーナリストは「パキスタンがタリバンに影響力を持つというのは間違いない。しかし、タリ…

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