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スポーツ用品メーカー開発競争激化「世界にブランドをアピール、絶好の機会」東京五輪まで1年

東京五輪・パラリンピックのボランティアユニホームに身を包み、発表記者会見で笑顔を見せる香取慎吾さん(中央)ら=東京都中央区で2019年7月19日午後、鈴木健太撮影

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大手3社が集まる関西、取り組みに熱

 東京五輪・パラリンピック開幕まで1年。五輪を挟む2019年から3年間はスポーツの世界大会の日本開催が続き、スポーツ人口の拡大や観光振興に期待が高まる。関西には大手スポーツ用品メーカー3社が本社を構え、販売や開発競争が激化している。経済界も、関西の活性化につなげようと取り組みが熱を帯びる。【鈴木健太、釣田祐喜、宮崎泰宏】

 「見え方だけでなく、着心地もとてもいいですね」。先月19日に都内で開かれた東京五輪・パラリンピックで使われるボランティアユニホームの発表記者会見。選考委員の一人で、元SMAPの香取慎吾さんは笑顔を見せた。

 シャツの右胸にはアシックスのロゴマーク。競技会場や選手村で活動する計11万人ものボランティアらが着る。真夏の開催に備え、裾の両サイドに切れ目を入れるなど暑さ対策に配慮した。会見を見守っていたアシックスの君原嘉朗2020東京オリンピック・パラリンピック室長は「我々の製品を着た大勢のスタッフが国内外の人々を迎え入れる。世界にブランドをアピールする絶好の機会だ」と目を細めた。

 世界中が注目するスポーツの祭典である五輪はスポーツ用品メーカーにとって製品の「見本市」だ。実際、五輪の女子マラソンで金メダルを獲得した高橋尚子、野口みずきの両選手が履いていたアシックス製シューズの機能性は世界で評価された。五輪後の世界的なマラソンブームで、アシックスはシューズの売り上げを世界で伸ばした。

 ただ近年は、業績が伸び悩む。米国などで販売が低迷し、20年12月期の連結売上高の業績予想を5000億円と従来より2500億円下方修正した。18年同期は20年ぶりの最終赤字に転落。日米でシューズの販売が苦戦した。「東京オリパラを見据え、大爆発につなげる」(広田康人社長)。地元開催の五輪では負けられない。

関西の主なスポーツメーカー

 アシックスは東京五輪で自社製品を宣伝できる独占契約を結んだ。スポーツ用品メーカーで唯一、大会名称やエンブレムを使って製品の国内宣伝ができる。ボランティア向けに加え、来年発表する日本選手団ユニホームとレプリカ販売を戦略の柱に据える。表彰台に上る日本選手全てがアシックスのユニホームを着る。レプリカを着た人々が観客席を埋め尽くす。契約の協賛金は150億円以上とされ、18年12月期の営業利益105億円を上回る。だが君原室長は「競技場や街中をアシックス一色にしたい。投資以上の効果は得られる」と鼻息が荒い。

 ライバルのミズノやデサントも手をこまぬいているわけではない。今年9月開幕のラグビーワールドカップ、20年の東京五輪・パラリンピック、21年の生涯スポーツ世界大会、ワールドマスターズゲームズ(WMG)がある3年間は「ゴールデン・スポーツイヤーズ」と呼ばれる。矢野経済研究所によると、18年の国内のスポーツ用品市場は前年比4%増の1兆5365億円、19年も3・2%増を見込む。相次ぐイベントを控え、スポーツを楽しむ人や観戦する人は増えるとみて、拡販の好機と捉えている。

 各社は、競技用のウエアやシューズの提供で有名選手を囲い込んでいる。例えば、アシックスが桐生祥秀選手(陸上)、ミズノが奥原希望選手(バドミントン)、デサントは瀬戸大也選手(水泳)と契約。契約期間が非公開のケースが多く「終了時期を知られると、他社が契約を取りに来る」(関係者)として神経戦を展開する。

 製品の開発競争も激化している。ミズノは、吸汗速乾機能が高い陸上ホッケー用のウエア開発に取り組む。大谷創一コミュニケーション戦略課長は「陸上ホッケーは全競技で最も暑さ対策が重要。通用すれば他の競技や製品に応用できる」と語る。デサントは、国内で初めてフェンシング日本代表向けの新ウエアを開発。今まで日本選手は欧米メーカー製を着てきたが、手足が長いデザインで体形に合わなかったりした。北沢朋子広報・IR課長は「生地や生産も『国内』にこだわった」と高い品質をPRする。

 海外勢も日本での世界大会に照準を定める。独アディダスは17年、アジア初となるシューズ開発拠点を神戸市に設けた。最新の素材加工機や計測器をそろえ、日本人選手を身近でサポートする。「日本でスポーツ人口の増加が想定される。ブランド価値向上に力を注ぎたい」としている。

「関西をスポーツで活性化させたい」

 関西の経済界はゴールデン・スポーツイヤーズの期間中に観光客を呼び込むとともに、スポーツの裾野拡大を促し、活性化につなげたい考えだ。関西経済連合会の松本正義会長は「この3年間を好機と捉え、関西をスポーツで活性化させたい」と意気込む。

 関経連は昨年「関西スポーツ振興ビジョン」を策定。アスリート育成の支援を盛り込み、企業や自治体などに協力を呼び掛けている。商工会議所も大阪、京都、神戸が連携し、スポーツに関わる企業同士の連携を橋渡ししている。

ホッケーの試合開始の合図になる最初のプレーを意味する「センターパス」のパフォーマンスで実行委員会設立を祝う滋賀県米原市の平尾道雄市長(手前左)ら=滋賀県米原市で2019年7月2日、釣田祐喜撮影

 競技が行われる自治体も動き出した。WMGでホッケーの会場になる滋賀県米原市は先月2日、競技や関連事業の準備に取り組む実行委員会を設立した。平尾道雄市長は17年にニュージーランドで開かれた前回大会を視察。「スポーツ大会と言いながら、外国の出場選手に現地の方々が『よく来たね』と話しかけ、交流を楽しんでいた」と振り返る。市は、宿場町の町並みが残る醒井(さめがい)や、琵琶湖などの名所を活用し、観光やおもてなしの施策を充実する方針。「外国人が当たり前のようにやって来る市になればうれしい」と話す。

 一方で、WMGは知名度向上が課題だ。組織委の調査では、関西開催を「知っている」と回答した人は1割にとどまった。関経連では、出場選手の所属企業に期間中のスポーツ休暇を認めるよう要請する検討をするなど幅広い観点から議論を進めている。

 関西には、アシックス、ミズノ、デサントの国内トップ3のほか、エスエスケイやゼットなどスポーツ用品メーカーが集まる。神戸でゴム、大阪では革のシューズ製造が盛んで、繊維メーカーが大阪で生まれるなどスポーツ用品の製造に適していた。高校野球や高校フットボールの全国大会が旧大阪府豊中村(現豊中市)の豊中グラウンドで開催されたこともきっかけに、各社が切磋琢磨(せっさたくま)して産業が育った。

 大阪成蹊大マネジメント学部(スポーツ経済学)の植田真司教授は「スポーツ用品大手や関連産業が集まる地域は世界でも珍しい。関西が結束して、競技だけでなく健康や仲間づくりのためのスポーツの役割を発信していけば、新しいスポーツ産業の集積地として世界でも注目される」と指摘している。

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