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的川博士の銀河教室

559 人類初の月面着陸から50年/3

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最初の異変、アラーム1202

 1969年7月16日に、アポロ11号宇宙船と3人の宇宙飛行士を乗せて打ち上げられたサターン5ロケットは、発射の12分後、地球を周回する軌道(きどう)に入り、地球を1周半したあとに3段目のエンジンに点火、月に向かう軌道(月遷移(せんい)軌道)に入りました。

     アポロ宇宙船は、司令船・機械船・月着陸船の三つの部分からなっており(図1)、月へ向かって飛んでいるときは3人とも司令船に乗っています。7月19日に月の向こう側に姿を消したアポロ11号は、そのまま放っておくと、月をぐるっと回って地球の方へ戻(もど)ってきてしまいます。だから、月の裏側で機械船のロケットエンジンに点火してブレーキをかけ、月周回軌道(つきしゅうかいきどう)に入りました。地球の管制センターから見えない所でのオペレーションなので、地上では気をもんでいましたが、この点火はうまくいき、第一関門を突破(とっぱ)しました。

     3人の飛行士は、米国テキサス州のヒューストンにある管制センターと緊密(きんみつ)な連絡(れんらく)をしながら、月を30回も回りました。その間、着陸のための準備を注意深く行っていたのです。飛行士に細かい仕事の指示をしているのは、数多くのエンジニアたちにバックアップされている管制センターの管制官たち、それと、宇宙船に取り付けられたアポロ誘導(ゆうどう)コンピューター(AGC)です(写真)。コンピューターからの命令は、AGCのモニター画面に映し出され、飛行士たちはその指示にもとづいて、キーボードをたたき、仕事を実行します。

     準備が整い、飛行も順調。3人のうち2人(アームストロングとオルドリン)が、月着陸船「イーグル」に乗り移りました。司令船から切(き)り離(はな)されるとき(図2)、一人司令船に残って留守を守るコリンズ飛行士が、「それいけ、ビューティフル!」と叫(さけ)びました。

     月を単独飛行しながらゆっくりと降下していた「イーグル」が、エンジンを噴射(ふんしゃ)して本格的な降下態勢に入ろうとする5分前のこと。突然(とつぜん)「イーグル」のコンピューターが狂(くる)ったような悲鳴を上げました。警報です! ディスプレーの「PROG」と書かれたランプが黄色く点滅(てんめつ)しています。1.5秒後、ヒューストンのディスプレーも光り出しました。

     「プログラム・アラーム」。アームストロングが冷静に言いました。オルドリンはコンピューターのキーをたたき、エラーの原因を問い合わせました。コンピューターが4桁(けた)の数字で答えました。「1202」。オルドリンがヒューストンにその数字を告げました。地上の訓練では経験したことのないエラーです。ヒューストンからの返事がありません。アームストロングが口を開きました。「プログラム・アラーム1202の意味を教えてくれ!」。声に苛立(いらだ)ちが混じっています。事態が急変したのです。(つづく)


    的川泰宣(まとがわやすのり)さん

     長らく日本の宇宙開発の最前線で活躍(かつやく)してきた「宇宙博士」。現在は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の名誉(めいよ)教授。1942年生まれ。


    日本宇宙少年団(YAC)

     年齢・性別問わず、宇宙に興味があればだれでも団員になれます。 http://www.yac-j.or.jp


     「的川博士の銀河教室」は、宇宙開発の歴史や宇宙に関する最新ニュースについて、的川泰宣(まとがわやすのり)さんが解説するコーナー。毎日小学生新聞で2008年10月から連載(れんさい)開始。カットのイラストは漫画家(まんがか)の松本零士(まつもとれいじ)さん。

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