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社説

韓国を「輸出優遇」除外 負のスパイラルを案じる

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 政府は、安全保障上の輸出管理で手続きを優遇する対象国「グループA(ホワイト国)」から、韓国を除外すると閣議決定した。除外は初めてで、極めて異例の対応だ。

 半導体材料など3品目の輸出を先月規制したのに続く第2弾だが、今回は日韓関係を歴史的岐路に立たせるものだ。過去の摩擦とは次元の異なる対立になりかねない。

 理由の一つは、規制対象となりうる品目を大幅に広げたことだ。

 新たに含まれる品目に工作機械がある。代表的なのは、韓国の主力製品の半導体を作る装置だ。材料の規制と二重の打撃になりかねない。

 半導体に次ぐ産業の自動車も、材料の炭素繊維やリチウムイオン電池が対象になりうる。通信機器や電子部品なども含まれ、幅広い業界に悪影響が広がる恐れがある。

歴史的岐路の日韓関係

 これは日韓関係に組み込まれてきた「政経分離」を揺るがす。

 日韓は互いに主要な貿易相手国だ。従来は歴史認識などで政治的関係が悪くなっても、企業の密接な結び付きが一段の悪化を防いできた。

 韓国にとって高成長を遂げた経済は自信の源泉だ。除外はそこを突くだけに反発も強い。既に日本製品の不買運動などが広がっており、反日感情をさらに刺激する恐れがある。

 二つ目は東アジアの安全保障環境を不安定にしかねないことだ。

 輸出優遇対象国からの除外は、安全保障上信頼できず、友好国でないと位置付けたに等しいだろう。

 韓国の康京和(カンギョンファ)外相は、今月下旬が更新期限の日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄する可能性に言及した。日韓の連携が支障を来せば、北朝鮮などを利する。

 北朝鮮が短距離弾道ミサイルを相次いで発射したのは日韓の対立と無縁ではないだろう。中国軍機と共同飛行したロシア軍機が島根県・竹島の領空を侵犯したのも、日韓対立に乗じた揺さぶりとの見方がある。

 深刻なのは、日韓両政府が世論を意識してか、互いを批判する負のスパイラルに陥っていることだ。

 米国が「仲介」に乗り出そうとしたが、日米韓の外相会談を待たず、日本は除外を決めてしまった。

 世耕弘成経済産業相は決定後、除外に関する意見公募の結果を公表した。異例の4万件が集まり、95%が賛成だったと紹介し、この結果も踏まえ除外を決めたと明らかにした。

 除外決定後、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は「盗っ人たけだけしい」と口を極めて日本を非難した。以前には安倍晋三首相も韓国を「国と国の約束が守れない」などとなじった。

 世論を冷静に見極めて、政策を決めるのが政府の役割だ。ナショナリズムをあおるような手法は危険だ。

 ここまでこじれたのは、韓国人元徴用工への賠償問題を巡り、日韓双方の対応に問題があったからだ。

共通利益の再確認必要

 韓国は1965年の日韓請求権協定に基づき解決済みとしてきた。だが昨年の韓国最高裁判決を受け、今年6月に日本に示した案は日本企業に資金拠出を求める内容だった。請求権協定に基づき、日本が要請した仲裁委員任命にも応じていない。日本政府は国際法違反とみている。

 日本政府は元徴用工問題への事実上の対抗措置として輸出規制に踏み切った。世耕経産相は、韓国の対応について、信頼関係が著しく損なわれたと説明していた。

 だからといって無関係な貿易の手続きを持ち出すのは筋が通らない。日本政府は否定するが、国際的には貿易の政治利用と受け止められた。

 必要なのは、日韓両政府が大局的観点から歩み寄ることである。

 日韓が国交を正常化した65年は米ソ冷戦時だった。歴史認識などで溝を抱えながら、同じ西側陣営に属することが求心力となった。

 冷戦が終結し、東アジアの構造も変わった。韓国は、台頭する中国との関係を深めた。領土を巡るナショナリズムも高まった。

 だが、東アジアの秩序維持に果たす日韓の役割の重要性は変わっていない。北朝鮮の非核化には日韓の緊密な連携が必要だ。協力を通じて東アジアの安定を図ることが日韓共通の利益にもなるはずだ。

 歴史認識などの摩擦は簡単には解決しない。大事なのは、摩擦が起きても、経済や民間交流に響かないよう政府が危機管理を行うことだ。

 出口の見えない応酬を繰り返していては外交は成り立たない。日韓の首脳は誠実に向き合うべきだ。

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