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被爆した父の死を機に、大阪から古里・広島に通い、原爆資料館で「ピースボランティア」として活動する男性がいる。大阪府大東市の岡野政俊さん(67)。「父の被爆体験をもっと聞いておけばよかった」という後悔を胸に、自分の知りうる限りの「原爆」を後世に引き継ぐ決意だ。
岡野さんが父、武夫さん(2009年に83歳で死去)に被爆体験を尋ねたのは、進学先の大阪から夏休みに帰省した大学1年の一度きりだった。広島県職員だった19歳のとき、空が光り、ドンという音とともに家中の建具が吹き飛んだこと。同じ年に病弱だった妹が亡くなったこと。父は静かに教えてくれた。
自宅の仏間に飾ってある肖像画が、自分にとっては叔母にあたる人だと初めて知った。ただ、広島育ちの岡野さんは被爆者と接する機会も多く、父の話に特段、興味は持てなかった。
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