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時代の風

各界の文化人が、それぞれの視点で混迷する時代を読み解きます。

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時代の風

孫に語り継ぐ戦争体験 新たな物語を家族に=城戸久枝・ノンフィクションライター

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=根岸基弘撮影
=根岸基弘撮影

 私のふるさとは、愛媛県伊予市という、人口3万7000人の小さな町だ。今年の夏休みは、8歳の息子と一緒に私の実家で、のんびりと過ごしている。

 7月28日、地元で大きな花火大会があった。会場まで続く商店街は、屋台が並び、にぎやかに人が行きかう。ただ、私が幼少時代に通った店が減り、古い町並みにところどころ更地が目立つようになっていた。

 商店街の一角に、古い洋風の旅館があった。その前に立てかけられた「防空壕(ごう)公開中」という段ボールの看板が目に入った。にぎわう商店街と防空壕というギャップにひかれ、旅館へと足を踏み入れる。防空壕は洋間の床下にあった。急な階段をおりるとひんやりとしたコンクリートの空間が広がった。74年以上前につくられたものなのに、全く色あせていなかった。

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