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『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』 著者・ブレイディみかこさん

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 (新潮社・1458円)

読み手にオープンな作品目指す

 英国在住の著者が刊行したノンフィクション。アイルランド人の夫との間に生まれた息子の成長を追った。問題の渦巻く学校に通い、悩みながらも前向きに生きていく少年の姿を、母の目線で描く。「子供たちはむき出しだけど、柔軟でもある。そこに大人も学ぶものがある気がする」と語る。

 欧州連合(EU)離脱問題に象徴されるように、英国社会は揺れている。そこに生きる優等生の少年が、「元底辺」とされる中学校に進学することになった。学校には差別や貧困、非行など問題が山積みだ。「子供たちの世界には、社会の不条理や矛盾があからさまに出る」。だが学校には自由闊達(かったつ)なムードや活気もあった。少年は周囲と交流し、自分を差別してくる子供とも友達になろうとする。

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