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地球の肺を守ろう~コンゴ熱帯雨林保護の最前線から(6)期待される「REDD+」=大仲幸作

森林調査時にコンゴ民主共和国の環境省職員が持参したパソコンの画像を熱心に眺める村の住民(同省提供)

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 開発か保全か…。熱帯雨林について議論する時、これまで幾度となく繰り返されてきた問いかけです。ここコンゴ民主共和国においても、貧困層の減少を図るために開発を推し進めようとするコンゴ政府と、熱帯雨林の保全を訴える欧米政府、環境団体などの間で意見の対立が起こっています。しかし、そんな二者択一の議論に終止符を打てる日がやってくるかもしれません。

     そのためのメカニズムの一つとして今期待されているのが、約10年に及ぶ気候変動交渉の末、パリ協定に明記された途上国の森林保全策「REDD+」(レッドプラス)です。

    コンゴ盆地では地域住民による違法な木材伐採や開墾などによって急速に森林が減少している=2019年2月撮影(大仲幸作さん提供)

     では「REDD+」とは、一体どのような政策なのでしょうか。これまで途上国では、熱帯雨林は常に開発の対象でした。途上国は、熱帯雨林を伐採して木材を生産したり、農地を造成したり、地下に眠っている鉱物や石油を採掘したりすることで経済発展を遂げてきました。

     「REDD+」はその逆です。途上国の熱帯雨林を、開発ではなく保全することで、途上国政府や地域住民に経済的な利益を生み出す画期的なメカニズムです。

     この「REDD+」ですが、試験的な運用がすでに始まっています。途上国が森林保全に取り組み、二酸化炭素などの削減に成功した場合、その削減量1トン当たり5ドルの資金が途上国に支払われる事業(「成果支払い」と呼んでいます)が、気候変動対策のための国際基金「緑の気候基金」で実施されており、ブラジルのアマゾン流域で実績も上がっています。

    キンシャサ港でコンゴ盆地で伐り出された木材を運び上げるクレーン。コンゴやその周辺国では木材は主要な輸出品の一つとなっている。2019年7月撮影(大仲幸作さん提供)

     また民間セクターでは、例えばエネルギーや国際航空の業界で、「オフセット」(温室効果ガスの削減活動に投資し、その成果を自らの削減量として活用する)を通じた気候変動対策を進めるため、「REDD+」の活動などに投資する動きも出始めています。つい先日、石油メジャーの一つである仏トタルが、森林再生に年間1億ドル以上の投資を行っていくと表明しました。同社は「従来のような慈善事業ではなく、気候変動ビジネスとして中長期的に森林再生に取り組んでいく」としています。

    コンゴ盆地の村の風景。熱帯林では貧困削減と環境保全の両立を図っていくための政策の導入が求められている(コンゴ民主共和国環境省提供)

     現在、何と70カ国に及ぶ途上国が「REDD+」に取り組んでいます。そしてコンゴ環境省の政策アドバイザーである私自身の支援課題の一つも、実はこの「REDD+」の推進です。当地では、「パリ協定」の本格的な開始を目前に控え、日本を含めた先進国政府、国際機関や環境団体が、コンゴ政府と協力しながら「REDD+」への取り組みを本格化しています。

     果たして「REDD+」は気候変動対策の救世主となれるのでしょうか。最新の研究では、1.5度目標の達成に必要な温室効果ガスの削減量の約2~3割が「REDD+」と、それに関連する活動を通じて達成できる可能性があることが報告されています。(つづく)


    大仲幸作(おおなか・こうさく)1999年に農林水産省入省。北海道森林管理局、在ケニア日本大使館、農水省国際経済課、マラウイ共和国環境省、林野庁海外林業協力室などを経て、2018年10月から森林・気候変動対策の政策アドバイザー(JICA専門家)としてコンゴ民主共和国環境省に勤務。

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