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来年度予算の要求基準 「青天井」続ける無責任さ

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 国の借金は1000兆円を超すのに、予算要求は依然として「青天井」で認める。あまりに無責任だ。

 政府は2020年度予算編成のルールとなる概算要求基準を決めた。最大の問題は、歳出全体の上限を定めなかったことだ。第2次安倍内閣が発足してから7年連続である。

 本来、基準は予算の肥大化にブレーキをかけるものだ。かつては歳出抑制に一定の役割を果たしていた。歯止めがなければ、財政規律は緩みっぱなしになってしまう。

 実際、安倍政権下の予算は過去最大を更新し続け、19年度は当初予算だけで初めて100兆円を突破した。歳入の3割強を国債に頼り、「借金漬け」は深刻化するばかりだ。

 とりわけ予算を膨張させそうなのは、今年10月の消費増税に伴う経済対策だ。19年度に続き、既存の経費とは別枠での要求を認めた。

 19年度予算には増税による国の増収分1・3兆円を上回る2兆円が計上された。20年度も手厚い対策を求める声が政府・与党に根強い。

 景気への配慮は大事だ。だが増税の目的は、将来世代へのつけ回しを減らすことだ。増税を上回る歳出を続けていては本末転倒になる。

 まして政府は「今の景気回復は戦後最長」との見方を示している。ならば過度の対策は不要なはずだ。

 しかも増税は国民に新たな負担を求める。理解を得るには歳出の無駄を徹底的に省くことが欠かせない。

 歳出抑制の重要性は、内閣府の最新の財政試算からも明らかだ。

 政府が健全化の指標とする国と地方の基礎的財政収支の黒字化は27年度と、半年前の前回試算より1年後ずれした。政府目標からは2年も後だ。経済成長の想定が高すぎたため実際の税収が不足するという。

 安倍政権は痛みを伴う歳出抑制を先送りし、成長頼みの財政運営を続けてきた。現実を直視すべきだ。

 22年度からは団塊の世代が75歳以上になり始める。このままでは予算の3分の1を占める社会保障費が急増する。歳出抑制を先送りすると将来世代の負担がもっと膨らむ。

 安倍晋三首相の通算在任期間は今秋、憲政史上最長となる。それだけの長期政権を担うのなら将来への責任も増す。年末の予算編成に向け歳出抑制に本腰を入れるべきだ。

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