SUNDAY LIBRARY

岡崎 武志・評『我らが少女A』『金時鐘コレクションIV』ほか

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今週の新刊

◆『我らが少女A』高村薫・著(毎日新聞出版/税別1800円)

 7年ぶりに合田雄一郎の登場だ。高村薫『我らが少女A』の舞台は東京西郊の小金井市周辺。2017年に起きた殺人事件が過去の事件とつながり、平凡な家族の仮面が次々と引きはがされる。

 本庁刑事だった合田は現役の終盤を迎え、警察大学校で教壇に立つ。殺された被害者が持っていたとされる12年前の事件の遺留品が、未解決事件の記憶を呼び覚ます。合田は当時の捜査責任者。クリスマスの朝、絵画教室の女教師・節子が死体で発見された事件だ。

 その陰にちらつく少女A。もうこの世にいない「少女A」が、かつて同級生だった友人たちや関係者の人生を揺さぶっていく。合田を含め、登場人物全員が傷を負うその負荷を巧みに物語に練り込む技が、さすがは高村薫だ。

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