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著者インタビュー 川上未映子『夏物語』

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産むことと死ぬことは一体だからこそ しっかりした価値観を持って生きる

◆『夏物語』川上未映子・著(文藝春秋/税別1800円)

 「人と人が性別を超えて出会いなおす。そういう新しい関係を描きたかったんです」と語る。新作『夏物語』は、生殖医療と生命倫理という重いテーマを扱っている。

 38歳で新人小説家の夏子は、パートナーなしで妊娠、出産する方法を模索する。彼女は、精子提供で生まれた逢沢潤と善百合子に出会う。逢沢は本当の父に会いたいと願い、善は子どもを産むという行為は暴力だと主張する。周りの女性たちの反応もさまざまだ。夏子は最後にどういう決断を下すのか―。

「第一部で夏子の姪(めい)の緑子が『生まれてきてよかったのか』と考えますが、あれは私自身の実感でもあります。女性は子どもの頃からいずれ子どもを産む体だと教え込まれ、自分の中に〈卵〉というやっかいなものを抱えている。私は、出産を経験しても、その気持ちがぬぐえませんでした。人間にとって『産むこと』は本当に自然なことなのかという問いに、ロジックではなく物語を書くことで迫っていきたいと思いました」

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