寄稿

黒武御神火御殿-三島屋変調百物語六之続 連載小説を終えて 「語り手」と「聞き手」の巡り会い=宮部みゆき(作家)

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宮部みゆきさん
宮部みゆきさん

 昨年の八月一日からちょうど一年間、『三島屋変調百物語六之続 黒武御神火御殿』をご愛読いただきまして、まことにありがとうございました。一年間の連載中、体調を崩すことなく、無事に書き通すことができまして、今はほっとしております。

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 大勢で集って百物語を楽しむのではなく、一度に一人の語り手を迎えて、一人の聞き手がその話に耳を傾ける--この変わった形式の百物語を書き始めたときは、一篇(いっぺん)一篇をもっと短く、怪談話の核の部分だけを書き連ねてゆくつもりでおりました。ところが、いざ書き始めてみると、語り手のことはもちろん、聞き手の心中に去来する想(おも)いも記したくなり、どんどん長くなってしまいます。

 とりわけこの連載では、第四話の表題作「黒武御神火御殿」が四百字詰め原稿用紙で四百枚近い長尺になり、本当にこれでいいのかと、自分でも書きながらいささかハラハラいたしました。お付き合いを賜りました読者の皆様には感謝の念でいっぱいです。

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